川村元気 仕事。 単行本
川村元気の気がかりで仕方ない今日この頃のこと。
先日に、2012(平成24)年10月25日木曜日発売の『世界から猫が消えたなら』(マガジンハウス)を読み終えた後の勢いが、まだまだ続いていたんだろうなあ。
その川村元気の仕事ぶりが相変わらず気になってしまい、雑誌『UOMO』の連載を通しての川村元気としての「壁を乗り越え、一歩抜け出す」ための唯一無二の仕事術の単行本化、すなわち9月24日水曜日発売の『仕事。』(集英社)を購入...。
たしかに、大人になってからのほとんどの時間、誰もが仕事をしているもの。
しかし、生計を得たいがために漫然と仕事をするだけの日々と、人生を楽しくするための仕事をする日々とでは、過ごし方と行動意欲の面において、大きな違いが...。
そこで、仕事で世界を面白くしてきた12人の錚々たる顔ぶれに訊ねることとなった企画が...。
山田洋次、沢木耕太郎、杉本博司、倉本聰、秋元康、宮崎駿、糸井重里、篠山紀信、谷川俊太郎、 鈴木敏夫、横尾忠則、坂本龍一。
これは奥が深いや。
ただ、同じ人間である以上、彼らが自分たちと同じ年の頃、何を想い、何を考え、 どう働いていたのか、どれだけ自身の可能性を高められたのか、自然と興味の湧いてしまう気持ち、決して否定できない。
巨匠たちとの対談とインタビューではなくて、エッセイに近いかもしれないや。
川村元気自身のこれまでの小説と同様、独特のテンポの良さと読みやすさが、まさに心地良い。
表紙の帯の下に隠れている巨匠たちの名前が象徴するように、中のページを開いた12人の写真の背景も12色になっている細かい部分のデザインを通じたメッセージといい、まさにテンポのいい文章力にも長けた一冊だった。
特に、12人の巨匠たちに「僕と同じ年の頃、何をしていましたか?」と「仕事ってなんのためにしているの?」という素朴な疑問をもとに、体当たりによる問いかけが...。
実際にも、いくらかの素朴な疑問に答えてくれて、現実的にお金を稼ぐためとマンネリ化しつつある状況に、「いやいや自分のためだよ」と言われた感触だった。
また、「だったらマンネリ化しつつある仕事で何か変えられれば、自分も変えられるよ!」とも、背中を強く押してくれている感触でもあって...。
仕事に追われるくらいなら、仕事を追った方が遥かに楽しいものだから...。
川村元気によるインタビューと巨匠との対談をふまえて、現実的な悩みから出発しているからこそ、ヒットメイカーではない、一人の青年としての血が通っているのが、我ながら嬉しいや。
年下の青年からのストレートな問いかけにも偉ぶることなく応える巨匠たちの姿勢も、本当に立派。
どの告白も濃密で壮絶、ぐさぐさと胸に刺さる言葉の数々に圧倒されられるものだった。
結局のところ、仕事の正解というものに関して...。
多くのビジネス本のように明解な答えはなくて、それぞれの環境や条件や人生によって違っていいということ。
ただひたすら、あきらめずに正解を探し続け、生み出したものはすべてが立派な「仕事。」であるということ。
仕事というのはそれほどまで粘り強く向き合ってはじめて「仕事。」になるということ。
この三つの考えによるものなんだろうなあ。
いずれにせよ、12人それぞれによる巨匠になるまでの軌跡が凝縮された古典として、読み継がれるべき一冊として、末永く好意的に評価されることになる予感が...。
すなわち、どれとして同じ結論がないのが、信じるに値する一冊として...。
2014-10-19 |
共通テーマ:日記・雑感 |
nice!(0) |
コメント(0) |
トラックバック(0) |
編集
コメント 0