桜の下で待っている 感想
心に沁みる物語だった。
彩瀬まるは、1986(昭和61)年生まれの千葉県出身。
上智大学文学部を卒業後、小売会社勤務を経て、あの『小説新潮』(2010年6月号)に掲載された、彩瀬まる執筆の「花に眩む」が、第9回女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞したのが、24歳の頃。
本当に早いもので、この度3月12日木曜日発売の表題作『桜の下で待っている』(実業之日本社)は、かの処女作から一転して、面倒だけれど愛おしい"ふるさと"をめぐる5つの物語。
書店で何気に目にした時は、きれいな貼り絵風の表紙から、より牧歌的(?)な物語の展開を連想していたけど、第1弾の「モッコウバラのワンピース」開始2ページより、何歳になっても恋愛できるんだなとか、おばあさんの言葉に心を鷲掴みにされたりと、いろいろ衝撃的な作品ゆえに、さすがに当惑...。
それでも、第1弾同様、「からたち香る」「菜の花の家」「ハクモクレンが砕けるとき」「桜の下で待っている」といった御題、いずれも最初に感じたインスピレーション通りの感動的な物語もあって、非常におもしろい小説。
特に、あの「3.11」がなければ、執筆されなかったであろう作品もあり、かなり奥深く、すべて家族や人間関係が濃厚で温かさを感じるものばかりだった。
それゆえに、東京駅発東北行の東北新幹線が運ぶ「どこか」への想い、乗車する北へ向かう人たちと彼らを見届けるワゴン販売員を主役に据えた演出には、感服させられるものが...。
ただ、購入したのはつい先日のこと、桜に直に想いを馳せられる時期としては、やや遅めということになるのかなあ。
それでも、ページ数も短いし、すぐに読めるのが嬉しいや。
寝る前にでも、改めて軽く目を通してみようかなあ。
温かみがあれば、心は休まるものだから...。
2015-04-10 |
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