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ナイルパーチの女子会 感想


ナイルパーチの女子会 感想

失礼ながら、またまた風変わりな御題の本の御出ましといったところ。

同時に、その風変わりさが、物事の本質を突いてえぐり出しているかのようだから、見逃せなくなってしまうもの。

それだけ、日々を生き抜くのに切実な人たちが、目に見えないところで多い、ということなんだろうなあ。


それは、先日の書店で目にした御題に惹かれて衝動買いしてしまった、3月28日土曜日の発売の『ナイルパーチの女子会』(柚木麻子 / 文藝春秋)。

ナイルパーチとは、生き抜くためとはいえ、在来の生態系を破壊しつ尽くそうとする凶暴な魚、いわゆる外来魚。


物語のあらましは、長い目で見た女性同士の関係にまつわる波瀾万丈(?)であるかのよう。


丸の内の大手商社に勤める30歳のやり手のキャリアウーマン・志村栄利子は、実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ日々にあって、密やかな楽しみは、同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。

決して焦らない「おひょう」独特の価値観と切り口で記される文章に、栄利子は癒されるのだ。


その"おひょう"こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしている反面、実は家族を捨て出て行った母親と、実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱える日々。


しかも、偶然なことに、これまで近所に住んでいたことを知らなかった栄利子と翔子の、あるカフェでの出逢いへ...。

同性の友達がいないという共通のコンプレックスもあって、二人は急速に親しくなっていき、ブロガーと愛読者からの理想の友人関係が始まるように互いに思えたも束の間、翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆくことになって...。


怖い。

読み終えた直後の実感...。

何でも解り合える親友とか、一番の仲良しとか、中学生の感覚のまま、大人になってる感じかなあ。


学生時代であれ社会生活であれ、誰でも無意識のうちに、自分は親友とか一番とか、友達にランクや順位を付けてしまうものなんだろうか。

何をするか、何処へ行くかで、複数のグループと交流して、気まぐれな誘いに応じて、付き合い続けてくれてる友達がいたとしても、友情を"ナイルパーチ"に例えてしまう、目に見えない残酷さ。


一日を終えることに、その日の人との関わりを、静かに振り返ってみる必要があるだろうなあ。

2015-04-19 | 共通テーマ:日記・雑感 | nice!(0) | コメント(0) | トラックバック(0) | 編集

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