天皇の料理番 真心 感動 DVD Blu-ray
素晴らしい。
まさに、TBSテレビ60周年特別企画として、ふさわしいドラマ。
こんなにも毎週放送を待ちわびて夢中で観て、その心地良い余韻に浸りながらまた次の週を待つ、そんなドラマは、2013(平成25)年1月13日日曜日より放送のTBS日曜劇場『とんび』以来、2年3ヶ月ぶりかなあ。
『とんび』だけじゃない。
2004(平成16)年7月2日金曜日より放送のTBS金曜ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』。
2006(平成18)年1月12日木曜日より放送のTBS木曜ドラマ『白夜行』。
2009(平成21)年10月11日日曜日より放送のTBS日曜劇場『JIN-仁-』。
2011(平成23)年4月17日日曜日より放送のTBS日曜劇場『JIN-仁-完結編』。
すべて、石丸彰彦プロデューサー・平川雄一朗チーフ演出・森下佳子脚本によるドラマ。
すべてのキャスト一人ひとりの造形にまさしく愛と真心が込められ、演技力が脚本に応え、そしてその熱と同等の熱さをもって全スタッフが臨んだことが、静かに浸透してくるかのよう。
そして、2015(平成27)年に入って、4月26日日曜日から7月12日日曜日まで全12回にわたって放送されたTBS日曜劇場『天皇の料理番』...。
いまだに感動の余韻の残りっぱなしのまま...。
主人公である秋山篤蔵を演じた佐藤健の底知れない瞬発力、かねてから出演の映画やドラマで、魅せられてきたのは、もちろんのことだけど...。
福井県武生村での幼い頃からのやんちゃな性格ゆえに、父・周蔵(杉本哲太)と母・ふき(美保純)により入れられた寺も破門、優秀な兄・周太郎(鈴木亮平)に反してあまりに単純かつ短気さゆえに頭を悩ませた両親による、海産物問屋・松前屋の婿養子入り。
松前屋跡取りとして働くも束の間、鯖江連隊の厨房で働くコックの田辺祐吉(伊藤英明)との出逢い、そこで食べたカツレツの味の衝撃から、日本一の料理人になりたいという志を持ち始めて...。
やがて勘当されたかのように家出同然に東京へ向かい、大学に通う周太郎、彼の指導教授・桐塚尚吾(武田鉄矢)の計らいで、一流西洋料理店である華族会館入りへ...。
さすがに波乱ぶりに魅せられてしまった。 どのように転ぶか解からない面白さとして...。
注目してしまったのは、佐藤健ばかりでない。
語りも兼任する篤蔵の妻・俊子を演じる黒木華のブレることのない安定感、あの旧き良き日本女性の佇まいが...。
当初は意志の強さはそれほど見せないものの、助産婦をして生計を立てるようになって、やがて子ども産んで育てるようになってからは、少しずつ凛々しい女性に。
特に、「ジュデーム」を口にした喜び、美しかった。
篤蔵の兄・周太郎を演じた鈴木亮平。
病身の設定ゆえの半年間での20kg減量実行といった鬼気迫る渾身の役者魂、生涯忘れられないドラマとしての決定打になったと言っても過言じゃない。
何度も耳にすることになった弟・篤蔵に向けての「励めよ」という言葉。
パリの料理修行から帰国した篤蔵から病床の兄・周太郎に、天皇の料理番になることを告げたシーン直後。 我がことのような嬉しさを隠すために、襖を思いっ切って閉めて、声を出さずに号泣する表情。
生涯忘れることないだろうなあ。
最後に、篤蔵が単身門を叩いて師事することになる華族会館の料理長で、「料理は真心」という信条を心身ともに篤蔵に仕込むことになって、生涯における師匠ともなる宇佐美鎌市を演じた小林薫。
あの寡黙ながらの実直さと、さりげなく魅せる優しさ...。
素晴らしかった。
全体を通して、篤蔵を取り巻く周囲の人たちのそれぞれの描写も丁寧、全体を覆う時代背景とそれに伴う当時の考え方も相まって、近年まれにみる優良かつ心揺さぶる正統派ドラマ。
小学生でも楽しめて、社会人は励まされ、人の親は言うまでもなく、特に、戦前生まれにはひときわ沁み入るのが、極上といったところ。
世代を超えて家族全員が楽しめる、しかもハイセンスハイクオリティな作品。
ただ、失礼ながら一番心残りなのは、2クールすなわち半年間の放送でないことか...。
フランス・パリロケまで敢行したのに、やはり不況下での製作費圧縮の煽りあってのことなのか、いささか急ぎ過ぎてしまったかのよう。
パリに渡ってからの篤蔵が、一流ホテルであるホテル・マジェスティックの厨房で小僧として働き始めてからの紆余曲折。
日本との味覚の違い、そして何よりも人種差別による苦しみ、それでも料理長は篤蔵の腕を高く買い、次々と昇進させるも、一向に賃金が上がらないことへの違和感。
当時日本人としての前例なし、当時のフランスの価値観からも難しいと考えられていたユニオン加入が、外交官・粟野慎一郎(郷ひろみ)による料理長への交渉あって、日本人初のユニオン加入への成功。
さらなる頭角を表しての3年後、フランスの最高峰ホテル・リッツへの転職。 当時"フランス料理の革命児"と呼ばれたオーギュスト・エスコフィエ(レベル・アントン)の下で働く傍ら、フランス人女性・フランソワーズ(サフィラ・ヴァン・ドーン)との心の交流といった、公私ともに充実した日々。
より日数と時間をかけて、じっくりと観たかったなあ。
結果として、完成度の高さは変わらなかったとしても...。
やはり、現実的に見渡せば、無理だったのかなあ。
いずれにせよ、11月27日木曜日発売のDVD/Blu-ray、本当に待ちきれない。
"真心"による感動に乾杯したいくらい。
2015-07-01 |
共通テーマ:日記・雑感 |
nice!(0) |
コメント(0) |
トラックバック(0) |
編集
コメント 0